建物について

ルヴァン美術館の建物は、1921年に西村伊作が創立した文化学院の最初の校舎をほぼ再現しています。当時学校の校舎は殺風景な工場のようなものが多かったなか、西村伊作は、「美の教育のためには美しい学校を作らなくてはならない。(中略)学校の校舎や校庭が美しくなければならない。美しい環境が美しい心をつくる」(西村伊作人生語録『われ思う』より)という考えのもと、校舎らしくない住宅のような英国コッテージ風の建築と庭園を設計しました。

「その学校の建物は私の好きな英国コッテージ風な建物であって、それは少数の学生を入れる目的であったから学校のようには見えない。日本の学校の建物というものは非常に殺風景な工場のようなものが多かった。けれど私はそれを全く住宅のような感じに作った。ポーチがあって、それにつるバラがからまるようにしてあった。(中略)大きなカエデやマツの木などもあった。(中略)都会の真ん中にいても山の中に住んでいるように感じられるように自然の風景を模したもので、洗練された趣味のある、ランドスケープガーデニングというようなものである。」(『我に益あり 西村伊作自伝』 西村伊作)

愛らしい校舎は残念ながら創立から二年目の1923年におきた関東大震災で全焼しました。校舎の全体像をあらわす設計図や写真記録は残らなかったため、伊作の絵と授業風景や集合写真をもとに校舎の再現作業をしました。

第1回生の集合写真からおこした
復元パース図

2019年にルヴァン美術館の建物は軽井沢町の歴史的な価値を持つ建造物として軽井沢ブルー・プラーク認定をいただきました。