小野 元衞・志村 ふくみ 兄妹展
この展覧会は、太平洋戦争直前という困難な時代に、文化学院に学んだ小野元衞 とその実の妹・志村ふくみの人と作品を紹介するものです。 西村伊作は1921(大正10)年、自由な教育を目指し文化学院を、東京駿河台に 創立しました。戦争直前の暗い世の中で、二人が学んだ文化学院だけは別世界で、 思想的にも、日常的にも抑圧のない伸び伸びとした環境で、校長の伊作は最後まで 反戦を貫き、投獄されても教育方針を枉げることはありませんでした。 この文化学院での学びが元衞・志村ふくみ兄妹に開花する感性、芸術性の根幹に 影響したと思われます。二人にとっては、まさしく青春の輝けるひと時でした。 小野元衞は重い病と闘いながら絵筆をとり続け、多くの絵画を残しながら、若く してこの世を去りました。芸術に対して純粋だった兄に恥ずかしくない仕事をし たいとふくみは常に念じながら、織物を続けてきました。繭から手紡ぎした糸で 織りあげる紬織の人間国宝 志村ふくみが、草木染めに魅せられ、手仕事を次世代 につなげようと歩んできたこれまでの「織の道」の一端を兄・小野元衞の作品と 共に展示致します。