個性の開花 「小さくて善いもの」 西村伊作
西村伊作の墓は奈良県の山奥のある村にあります。
黒い四角な石に伊作の陶板がはめ込まれています。
その陶板には馬の走っている絵があります。
ぼくはそのお墓へ行っても祈ったりはしません。
ただちょっとご挨拶するだけです。
ぼく達は伊作の命日とかに何もしません。
祈る仏壇のようなものもないから、祈りません。これがうちのやり方です。
さて、今年の美術館の企画には伊作を知って教わった人達の出品です。
こうしてただ時々思い出す・・・・・。それが伊作への祈りです。
伊作は宗教くさい儀式なんか嫌いだからこんなのでいいのかなと思います。
儀式や形式や主義から外れて、自由なとらわれない気分になって、はじめて新しい創造が生まれる。
これが伊作の皆に残した思想ではないかと思うのです。
ルヴァン美術館館長
西村八知