ルヴァン美術館開館25周年 文化学院開学100周年記念
西村伊作の理想の学校 文化学院  100年前のパイオニアたち

大正時代、生活文化研究家として注目されていた西村伊作は、幼いころから自分の理想の学校を作ることを思い描いていました。「教育の本旨は芸術教育であらねばならない」「少女たちの自然で自由な心を伸びやかに学びに向かわせたい」という伊作の考えに共鳴した画家の石井柏亭、歌人の与謝野晶子・寛、国語教師の河崎なつは、理想の教育を行うための学校の創立を共に考えます。当時の女学校の教育内容は程度を男子よりも落としたものでしたが、彼らは芸術教育により女子の資質と能力は男子と同等もしくはそれ以上に開花すると信じ、1921年春に文化学院を開校します。
文化学院の芸術教育の基底には「個性の尊重」「ジェンダー平等」「グローバルエデュケーション」等の考え方があり、100年前においては革新的な学校の出現であったといえます。当時第一線で活動する学者や文化人、赤城泰舒、山田耕筰、高浜虚子、有島武郎・生馬兄弟、佐藤春夫等の芸術家たちも講師となり、彼らの知識と思想と美意識を少女たちに惜しみなく分け与えました。
大正自由教育の追い風を受けながら立ち上がった文化学院の高踏的人間教育の創立期から成熟過程と、芸術教育のために愛と力を注いだ講師たちの作品を本企画展でご紹介します。