ルヴァン美術館開館20周年 記念企画展
今年はルヴァン美術館開館20年にあたります。 記念の企画展として、西村伊作の絵画・陶芸や、建築・教育など社会での活 動、戦中の様子などについて紹介し、加えて二人の弟たち、真子(マーク) 七分(スティーブン)についても遺された写真・絵画を展示します。 伊作が最も活躍した大正デモクラシー期は、人々が家庭生活のあるべき姿を 真剣に模索した時代でした。そのような時、彼は生活の器である「住宅」や、 子供たちの「教育」の理想を具体的に示し、一躍「時の人」となったのでした。 1921(大正10)年、彼は与謝野晶子らの協力を得て『文化学院』を創立すると 共に、自ら事務所を開き住宅を主とする建築活動を行いました。 彼はまた、自身の生活の中に絵画や陶芸の創作など「芸術」を取り入れ日常を 豊かにするとともに、創意工夫を凝らして改善された「生活」そのものも「芸 術」と考え、その創造を自らの喜びとしました。 このような生活の中で、彼は 何げない近隣の風景や発展し変わりゆく町の姿を描きました。 今回これらの未 発表の伊作の絵画も多数展示します。
この企画展で紹介した伊作の主張や姿勢が、今後の日本人の日常生活を考える上で、示唆に富んだものとなれば、幸いに存じます。